生命保険金 不払い相談ナビトップ ページ > 不払い紛争の解決事例 > 不払い紛争の解決事例2

弁護士法人みお運営:生命保険金不払い相談ナビ生命保険の不払いに関するご相談窓口のお問合せは 相談フォームへ

相談フォームへ

不払い紛争の解決事例

不払い紛争の解決事例2

Bさん

■ 解決の流れ
解決の流れ
 
事例の概要 Bさん(原告)の息子は、保険会社との間で定期保険契約を締結した2年4ヶ月後、居住マンションと非常階段の間の吹き抜け部分で死亡していました。そこで、息子の死亡保険金の受取人であったBさんは保険会社に対して、保険契約に基づく死亡保険金5,000万円及び遅延損害金を請求しました。ところが、保険会社は「息子の死亡原因は『自殺』である」と主張し、保険金の支払いを拒否しました。そこでBさんは保険会社に対して、保険金の支払いを求める訴えを提起しました。
争点 本件保険契約には免責事由(保険金を支払わなくてよい事由)として「責任開始日から3年以内の被保険者の自殺」(いわゆる「自殺免責」)が定められていました。そこで、息子の死因が「自殺であるか否か」が争点となりました。なお、息子の死因が自殺であることの立証責任は保険会社側にあり、Bさんは息子の死因が自殺ではないということを立証する責任はなく、自殺か事故死かよくわからない心証を生じさせれば足ります。
立証のポイント 息子の死因が自殺であることを伺わせる事情として、(1)「息子には借金(少なくとも6,000万円)があったこと」、(2)「死亡推定日の4ヶ月前の日付が付された息子作成にかかる恋人宛の遺書らしき内容の手紙が部屋から発見されたこと」などがありました。そこで、原告代理人は、息子の恋人や家族から、生前の息子の生活状況や交友関係などについて詳しく聞き取りました。
(1)については、息子には弁護士の知り合いがいたことや、破産手続を利用すれば借金を清算できることを息子が知っていたという事実を知りました。そこで、破産すれば借金を清算して人生をやり直すことができる以上、借金を苦にして自殺するとは断定できないため、息子の死亡は自殺ではないと反論しました。
(2)については、恋人宛の遺書らしき手紙が遺されていたことについて、その遺書の作成日付が息子の死亡日の4ヶ月前であったことに着目し、息子の死因が自殺であることを裏付けるに足りないし、自殺するのであれば、自殺の直前に遺書もしくは何らかのメッセージを残すはずであるがそれが残されていないのは自殺ではない証左であると主張しました。
結論 裁判所は、おおむね当方の反論を受け入れてくれて、自殺免責の抗弁を排斥し、原告の請求を認めました(自殺と事実確定するだけの心証には至らなかったようです)。
本件は、自殺を伺わせる事情があり、それを「総合して」判断されてしまうと自殺であると認定されてもおかしくない事案であったと思います。
しかし、自殺を伺わせる複数の事情の「一つひとつ」に対し丁寧に反論することがまず大事であったと思います。加えて、Bさんに息子の死因が自殺ではないことの立証責任はないものの、息子がなぜ死亡したのかあり得るストーリー(アナザーストーリー)を主張し、それをきちんと証拠に基づいて立証することも、やはり大事であったのではないかと思います。

※本事例が判例雑誌に掲載されました。
ついては、紹介事例に判例雑誌(判例時報2062号148頁)をご覧ください。

相談フォームへ