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不払い紛争の解決事例

不払い紛争の解決事例1

Aさん

■ 解決の流れ
解決の流れ
 
事例の概要 生命保険の被保険者である夫婦が乗った自動車が、高速道路を走行中にガードレールを突き破って転落大破し、2人とも死亡する事故が発生しました。亡くなった夫婦の相続人であるAさんらは、夫婦が加入していた保険会社に対し、普通傷害保険の死亡保険金の支払いを求めました。保険会社は、交渉段階から「故意による事故の可能性がある」と指摘し、保険金の支払いに消極的な姿勢を見せていました。そこで、Aさんらは保険会社に対し、保険金支払いを求める訴訟提起に踏み切りました。
争点 本件事故が「偶然な」事故であるか。つまり、被保険者の故意による自殺の場合は、保険金が支払われないことから、「偶然な」事故か自殺かが争点となりました。
立証のポイント 本件事故が急激かつ偶然な外来によるものかについては、直接証明する事実がないので、下記に掲げたような、事故状況、被保険者らの生活状況(事故前の行動及び事故後予定していた行動計画)から自殺に結びつく動機がないことを立証しました。
(1)事故状況の問題点に関して
保険会社は、専門家による鑑定を実施して、本件車両がガードレールに衝突した角度を算定したうえで、本件車両がガードレールに衝突するためには、ハンドルを意図的に操作する必要があること及び衝突時の車両速度が時速150q以上に達していたとの報告書を提出しました。
これに対してAさんらは、上記鑑定において、車両の一部が対象物に衝突した場合(いわゆるオフセット衝突)における衝突部分と反対方向に生じる回転運動を考慮していないことなどについて指摘。上記報告書が信用に値しないことを立証しました。
(2)事故の状況について
死亡検案書に「シートベルト痕がある」との記載があったことから、夫婦は事故時にシートベルトを着用しており、高速道路のガードレールに衝突して自殺する方法としては不確実であり、夫婦が死亡を企図していたのであれば確実に死に至る方法を選択することが自然であるといったことなどから、本件事故が偶然の事故であることを立証しました。
(3)動機について
カルテ及び保険会社提出の医師の意見書から、夫婦の事故直前の状態が安定しており、夫婦は将来を儚む精神状態になかったこと。さらに、夫婦の生活状況や保険加入時期などから、生活状況等を細かく主張立証し、本件事故が夫婦の意思に基づくものではないことを立証しました。
結論 裁判所は、保険会社が提出した鑑定書について信用性が乏しいと認定したうえで、上記のような事実から本件事故が急激かつ偶然な外来によるものと認定して、(3)夫婦が自殺を決意せざるをえないような出来事の存在は認められないとして、Aさんらの保険会社に対する保険金請求を認容しました。

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